一日に何回紅茶を飲むの?イギリス人のティータイム

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イギリス人はとても紅茶好きです。

どれくらい紅茶が好きかというと、1人あたりの年間消費量が約2.6kgなんです。

これは平均して1日に4~5杯の紅茶を飲んでいる計算になります。

4~5杯というのは平均したらということなので、紅茶が好きな人はもっと紅茶を飲んでいるということですよね。

それを象徴するかのように、イギリスでは日に何度もティータイムがあって「イギリス人は日に7回紅茶を飲む」という言葉があるくらいなんです。

そして、そのティータイムにちゃんと名前がついているんです。
時代や地方によってさまざまなティータイムがあるので全てはお伝えきれませんが、今日はそのティータイムの代表的なものをご紹介します。

◆アーリーモーニングティー

朝、目覚めてすぐにベッドで飲む紅茶。

もともとはヴィクトリア時代の貴族の習慣でした。
ご主人様の目覚めの時間に、召使いがご主人さまのベッドまで暖かい紅茶を運びます。ご主人様はアツアツの紅茶で目を覚ますのです。

NHKで放送されていた、20世紀初頭の貴族の館が舞台のドラマ「ダウントンアビー」でも、このアーリーモーニングのシーンがありました。ドラマでも語られているように、このアーリーモーニングティーは女主人だけの特権だったのです。

現在では、週末に奥さまのために旦那さまが紅茶を淹れてベッドに持って行くというかたちで残っているそう。さすがレディーファーストの国ですね。

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写真はドラマダウントンアビーのアーリーモーニングティーのシーン。

ヘレンドのティーウェアが使われています。さすが伯爵夫人のティータイムですね。

◆ブレックファストティー

朝食時と一緒に飲む紅茶。

この習慣は18世紀のイギリスの女王であるアン女王が始めたと言われています。

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アン女王は美食家で有名でお酒も大好きでした。

ブランデーナン(英: Brandy Nan)というあだ名が付けらるほど、ブランデーが大好きだったアン女王ですが、朝食には必ず紅茶を飲んでいました。

いろいろな紅茶メーカーから出ているブレンドティーにもクイーン・アンの名前はよく使われています。

イギリス人はミルクティーが大好きで、朝の紅茶は決まってミルクティーというのが定番なので、ブレックファストブレンドの紅茶はミルクティー用にブレンドされたものがほとんどです。

◆イレブンジズ

午前11時頃に飲む紅茶。

もともとはヴィクトリア朝時代のメイドたちが仕事の合間に楽しんだティータイムだそうです。

数十年前のイギリスではどこのオフィスや工場でも11時になると一斉に紅茶が配られて15分くらいの短いティーブレイクを楽しんでいました。

このイレブンジズはお茶菓子と一緒に紅茶をいただくのが普通で、イレブンジズの伝統的なお茶菓子は「バタつきパン」でした。

「クマのプーさん」はこのイレブンジズが大好きだそうで、本にもよくイレブンジズのエピソードが出てきます。

クマのプーさん (岩波少年文庫 (008))
A.A.ミルン作 石井桃子訳

この本の46ページに「プーはいつも午前11時には、なにか一口やるのが、すきでした。」

というくだりがあるのですが、これはもちろんイレブンジズティーのことです。

◆ランチティー

ランチと一緒に飲む紅茶。

イギリス人のランチはだいたい13時頃。そのランチの時ももちろん紅茶をただきます。

イギリス人はとてもボリュームのある朝食をいただくので。ランチは軽めにとる人が多いそう。サンドウィッチとミルクティーというのがランチの定番メニューです。

◆ミッディ・ティーブレーク

午後4時頃に飲む紅茶。

15分くらいの軽いティータイムでビスケットやショートブレッドとともにミルクティーをいただきます。

ショートブレッドとはサクサクした触感のバタークッキーのことで、イギリス人が大好きなお菓子の一つです。

 

写真はイギリスで定番のwalkersのショートブレッド。

ショートブレッドサクサクして甘い、ミルクティーと相性バッチリのお菓子。

日本でも大手のスーパーや輸入食材屋さんで売っています。

◆アフタヌーンティー

午後4時頃に飲む紅茶。

ミッディ・ティーブレークと同じ4時に飲む紅茶ですが、こちらは休日や来客時などの特別な時に飲む紅茶。キュウリのサンドウィッチとスコーンとケーキを用意するのが伝統的です。

この習慣はヴィクトリア朝時代にベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアさんが始めました。

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こちらはベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリアさんの肖像画。

この方のおかげでアフタヌーンティーという素晴らしい習慣が出来ました。

現在の日本で私たちもアフタヌーンティーを楽しめるのはアンナ・マリアさんのおかげです。

◆ハイティー

午後5時頃から夕食と一緒に飲む紅茶。

ハイティーはスコットランドやアイルランドなど地方の労働者階級から始まった習慣です。

別名ミートティーとも呼ばれ、夕食のかわりとなるティータイムでした。

スコーンやケーキなどの甘いもののほかに、肉や魚・卵などの食事も出され、夕食とアフタヌーンティーを一緒にしたような、かなりボリュームのあるものでした。

◆ファイブオクロック

午後5時頃に軽食と共に飲む紅茶。

ハイティーと同じ時間帯に飲むお茶ですが、食べ物が軽めの時はファイブオクロックと呼ばれているようです。

仕事が終わった後、観劇などにいく時は、観劇が終わってからディナーになるので、観劇をする前に、ちょっとのおつまみと一緒に紅茶を飲んで、腹ごしらえをしておくのです。

「ファイブオクロックしてから観劇に行きましょう♪」なんて使われているんでしょうね。

◆アフターディナーティー

夕食の後に飲む紅茶。

夕食後のくつろぎの時間にいただく紅茶。

やや薄めのミルクティーに甘みの強いチョコレートなどのお菓子を少しいただきます。

19世紀では男女が別々の部屋でアフターディナーティーを楽しんでいました。

男性はそのままダイニングに残るか、書斎に行って、お茶やお酒を楽しみ、
女性はドローイングルームでお茶を楽しんだそうです。

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写真はドラマダウントンアビーのアフターディナーティーのシーン。

ディナーの後なので皆さん着飾っています。

◆ナイトキャップティー

就寝前に飲む紅茶。

ナイトティーとも言います。
寝る前に紅茶を飲むと、体が温まるのでよく眠れるそうです。

私はこのナイトキャップティーという習慣がとても気に入って、紅茶を勉強してからはほぼ毎日楽しんでいます。

寝る前の大切な自分だけの癒しの時間という感じで、このナイトキャップティーをすると、平凡な一日でも素敵な一日に変わるんです。

このときはお茶菓子は一緒にはいただかないので、甘くしたフレーバーティーやハーブティーを楽しんでいます。

紅茶を飲むと眠れなくなってしまうのが心配な方は、紅茶を薄めに入れたり、カフェインレスの紅茶を楽しんでみてもいいと思います。

毎日飲んでいるナイトキャップティーは簡単に作りたいので、このような茶こし付のマグカップを使って紅茶を淹れています。

 

 

茶こし付のマグカップはたくさん売っていますが、茶こしの部分が大きい物を選ぶと美味しい紅茶を淹れられます。

茶こし部分が小さい物だと、茶葉がきちんと開かず抽出がスムーズに出来ません。

茶こしの部分はかならずチェックしてください。

茶こし部分が大きいマグカップは最近とても増えたので、選ぶのも楽しいです。

イギリス人のティータイムの紹介は以上です。

こんなにたくさんティータイムがあるのだから、イギリス人は一日に7回お茶をのむと言われているのも納得できますよね。

私はイギリス人ではないですが、紅茶を飲む回数ならイギリス人にも負けていません(笑)