<紅茶道具>マリーアントワネットゆかりのティーカップ
紅茶好きの方には「マリーアントワネットが好き」という方が多くいるように感じます。
もちろん私も大好きです。
中国からヨーロッパに渡った紅茶は高貴な人の飲み物として広まっていったので、プリンセスの飲み物というイメージがあるからかもしれませんね。
今日はお姫様のティータイムにふさわしい、マリーアントワネットにゆかりのあるティーカップを紹介します。
※この記事は2015年に書いた記事に加筆し修正を加えたものです。
マリーアントワネットゆかりのティーカップのお話をする前に、まずは彼女のテーブルウェアの好みについて少しご紹介。
マリーアントワネットが生まれたのは1755年。
その頃すでにヨーロッパでは磁器の製造が始まっていて、マイセン(1710年創業)、アウガルテン(1718年創業)、セーブル(1738年創業)などが誕生していました。
高貴な生まれのマリーアントワネットは生まれた時から磁器が身近にあったと想像できます。
マリーアントワネットが生まれたオーストリア・ハプスブルグ皇室では、薔薇をモチーフにしたテーブルウェアを代々使用していたそう。
オールドウィンナーローズは1744年にマリアテレジアの命によりウイーン窯(現在のアウガルテン)で作られました。
マリーアントワネットが生まれたのは1755年だから、きっと彼女も、この柄のテーブルウェアを使っていたのでしょうね。
マリーアントワネットが嫁いだフランスにはセーブル窯(1738年創業)があります。
もちろんマリーアントワネットも自らの命でテーブルウェアを作らせていて、ヴェルサイユ宮殿にある離宮プチトリアノンの1Fにはマリー・アントワネットがオーダーした食器が展示されていました。
プチトリアノンに展示してあるマリーアントワネットが自らオーダーしたテーブルウェアはどれも小花柄。
食器の絵柄の格式でいうと小花はとても格式が低い柄なのです。
格式が高いのは紋章や羽で、その次が風景や動物、そして花という順になります。
そして、花の中でも薔薇などのお世話をちゃんとしないと綺麗に咲かない花は格式が高く、野に咲く花は格式が低いそうです。
そして、マリーアントワネットがオーダーしたものの中にはヤグルマギクがモチーフのものがあります。
パールも一緒に描かれているけれど、ヤグルマギクはヘッジロウフラワーと呼ばれる格式の低い部類のお花。
お城にアモーという疑似田舎を作ってしまったマリーアントワネットだけあって、テーブルウェアの趣味も素朴だったのかな、なんて思います。
それでは、マリーアントワネットの趣味が分かったところで、現在販売されているマリーアントワネットの名が付いたカップたちを紹介します。
◆ロワイヤル ド リモージュ(仏) マリー・アントワネット
こちらは、先ほど紹介したプチトリアノンに展示されているもののレプリカ。
1782年にマリーアントワネットがセーブル窯に注文したものをフランスの磁器メーカー、ロワイヤル ド リモージュ 社が復刻版として製造、販売しています。
マリーアントワネットが好きだった矢車菊にパールをあしらった清楚なデザインです。
ロワイヤル ド リモージュ社について
1737年にリモージュで創業したブランド。セーブル窯よりも1年早く創業している歴史ある窯です。1774年に王室御用達窯、1778年に「王立」となりました。18世紀以来の伝統に育まれた高い品質を誇り、現在でも手仕事により製造しています。特に素地の白の美しさが有名です。
またロワイヤル ド リモージュは「LIMOGES」の標章を製品に印することを許された最初のブランドです。
◆ロイヤルクラウンダービー(英) ロイヤルアントワネット
イギリスの磁器メーカーロイヤルクラウンダービー社から出ているシリーズです。
ロイヤルアントワネットシリーズは18世紀にデザインされ、1959年に発売されました。
マリーアントワネットが大好きだったバラや小花が描かれ、シルバーの小さな星がちりばめられたデザインは18世紀のものとは思えないほど。
金彩の縁取りとドット模様、さらに波打つシェイプがより華やかな印象を与えています。
手描きの作品なので、同じロイヤルアントワネットでも微妙なお花の違いや、色合いの違いがあります。
さらに長い間作り続けられているデザインなので、昔のものとはエンボスの出かたも変わっています。購入されるときは違いを注意してよく見てみてくださいね。
このロイヤルアントワネットシリーズはエリザベス女王が週末を過ごす、ウィンザー城で朝食の時に使用されているそうです。
ロイヤルクラウンダービー社について
1750年イングランド・ダービー州で創業した陶磁器ブランド。
1775年に国王ジョージ3世より、”クラウン”を賜り、1890年にヴィクトリア女王より”ロイヤル”と賜りました。イギリスではロイヤルがついたブランドは複数ありますが、ロイヤルとクラウンふたつの称号を冠するブランドはここだけです。また、イギリスの陶磁器メーカーは生産は国外というメーカーが多い中、ロイヤルクラウンダービーは今でも英国内で生産をし続けている希少なメーカーです。
このロイヤルアントワネットシリーズを使わせていただけるサロン・ド・テが新宿にあります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
◆レイノー(仏) マリーアントワネット プチトリアノンシリーズ
フランスの磁器メーカー レイノー社から出ているシリーズです。
こちらは「プチトリアノン」という名がつけられており、ベルサイユ宮殿のプチトリアノンのお土産コーナーで販売されています。
カップの大きさは2種類あり、エスプレッソ用の小さいものとカフェ用の大きいものがあります。
写真のカップはエスプレッソ用のものです。
レイノー社について
1849年フランス リモージュ地方モンジョヴィの丘にてられた工房を1911年にマーシャル・レイノーが買い取り、1925年にレイノー社と名前を変え今に至ります。モンジョヴィの丘にはいくつも窯がありましたが、現在残っているのはこのレイノー社だけです。由緒ある伝統を守りながら、技術革新を続けているメーカーです。
◆ロールセリニャック(仏) マリー・アントワネット
フランスの磁器メーカー ロールセリニャック 社から出ているシリーズです。
カラフルなバラにピンクのリボンがとても可愛らしいデザイン。
マリーアントワネットのイメージにぴったりと思ってしまいましたが、実はマリーアントワネットは青や水色が一番好きで、次に緑や紫が好きだったそうです。
ロールセリニャック社について
1919年にパリで創業したブランド。リモージュの磁器に絵や金彩を手描きで描いて製造しています。金彩に24金を使っている数少ないメーカーです。フランス政府も使用している由緒あるブランドで、サルコジ大統領も、贈答品として贈ることもあるそうです。
◆アウガルテン(オーストリア) マリーアントワネット
アウガルテン社について
1718年にウィーンで誕生したブランド。1744年にマリアテレジアによりハプスブルク家直属の窯となりました。1864年から約60年のあいだ休窯となっていましたが、1924年に復活。そのときに「アウガルテン」という社名になりました。18世紀後半には 「技術と品質で世界一」 という名声を得ました。現在でもすべてが手づくりのため生産量は少なく、オーダーしても納品が半年以上先ということも少なくありませんが、その素晴らしい作品はそれだけ待つ価値があります。
マリーアントワネットゆかりのティーカップたち、いかがでしたか?
お姫様のなかのお姫様、マリーアントワネットの名を冠しているだけあって、どれもそれなりに高価なものなので、気軽に購入できるものではありませんが、それでも少しづつ揃えていければいいなと思ってます。
そして、全種類のマリー・アントワネットティーカップを揃えて、マリーアントワネットティーパーティーを開くことを夢見ています。
おまけ①マリーアントワネット特集の雑誌
2018年6月30日に発売された「美・プレミアム 2018年8月号」はマリーアントワネット特集でした。
美premium 25 2018年 08 月号 [雑誌]: プリ*フラ 増刊
おまけ②マリーアントワネットの肖像画
マリーアントワネットは青が好きだったと書きましたが、実際に色々な肖像画を見ても青いドレスを纏っていることがとても多いので、並べてみました。
晩年のマリーアントワネットは黒や赤のドレスの肖像もありますが、やはり青のドレスが多いですね。特に子供の頃は青のドレスばかり着ていたんですね。
おまけ③マリーアントワネットのフェイスマスク
マリーアントワネットの少女時代の肖像が描かれたフェイスマスクを発見してしまったので、ご紹介します。
マリーアントワネットのティーウェアはどれも高額なので、なかなか買えませんが、こちらはとてもリーズナブルです(笑)
TeaMagazineではマリーアントワネットについて、他にも記事を書いています。
よかったらご覧になってくださいね!